prince &revolution -parade-
映画アンダーザチェリームーンのサントラ盤。映画自体は未だ見たことがない。高校生の時に初めてこれを聞いてプリンスの印象が変わった記憶がある。
アルバムを通して幻想世界に誘われるアート作品のような印象を持っていた。中でもヴィーナス・ドゥ・ミロ、と4月に降る雪の2曲は透明感の中に包まれた純度の高い美しさを感じていた。
しかし高校生だった私が心から好きな作品とまでは言い難く、相対的に地味で不思議な作品でもあり、その後あまり聞く機会はなかった。しかし最近この作品を思い出し、聞き直してみると、どこか白いベールの中の美しい悪夢のような感じが心地よく、聞き流しているといつしか空間が別次元に変わっている。
歌詞は普段気にしていないのだが、ラスト曲、4月に降る雪に感じたのは、避けがたい悲しみを悼みやさしく寄り添うかのようであり、個人の悼みを超えて多くの人間が何代にもわたって感じてきた悲しみの本質を癒すようでもあり、優しくも詩的であると同時に哲学性を背後に感じさせる珠玉の名曲であることに改めて感動した 20221106